2014年3月3日月曜日

AppleのCarPlay発表の理由とその背景。

Appleが日本時間2014年3月3日、CarPlayを発表いたしました。このタイミングについて解説しましょう。


実は、明日からジュネーブモーターショーが始まるのです。このジュネーブショーの開催地はいわずもがなスイス。ジュネーブショーは世界の主要モーターショーの一つに数えられるのですが、同時に唯一自動車メーカーが存在しない開催地でもあります(リンスピードなどのベンチャー系はありますが)。

本来、各国のモーターショーはその国の自動車メーカーが主役になります。なぜなら、いまも昔も、自動車産業は工業国であれば、もっとも大きい産業だからです。


デトロイトショーはビッグスリーオンステージですし、フランクフルトはドイツメーカーがオラオラで覇権を競い合います。もちろん東京モーターショーは、日本車です。主力モデルのモデルチェンジや力の入ったニューモデル、コンセプトカーは自国開催のショーか、もしくは主要マーケットでの発表となります(ワールドプレミア)。主要マーケットという意味では、20年くらい前は東京がそれに相当し、今は上海。ドイツメーカーもアメリカメーカーも中国専用車や高級車、量販となるクルマをここで発表するようになりました。アメリカ(ロサンゼルス)は今も昔も世界一の自動車マーケットなのでいわずもがな。


そう考えるとジュネーブはクルマメーカーがない=スイスらしく永世中立なワケです。ゆえにある種カオティックでアラブの王様や自分の銀行口座なんて見たことすらもないヨーロッパのお金持ち相手の手作りウルトラスーパーカーや一発当てたい(ないしは出資してもらいたい)ベンチャークルマメーカーや、そうした人たちが趣味で作っちゃったようなメーカーが出てきて、それはそれで面白いのです。例えばスイスのクルマメーカーで今ならリンスピード、60年代〜70年代ならモンテベルディとか。あとはベネルクス三国とか北欧(ケーニグセグとか)、東欧のスーパーカーメーカーとか。まぁ、そもそもスイスって国自体がそういう方達とのおつきあいを国全体のナリワイとしているワケですしね。

つまり既存メーカーの御威光が届かない(しいていうならドイツメーカーでしょうか)モーターショーであり、なんでもありの素養がある珍しい主要ショーなのです。そんなジュネーブショーの前日にAppleがCarPlayを発表したというのは、流石Apple、絶妙としかいいようがありません。いくつかのクルマメーカーはここにCarPlay搭載のコンセプトカーもしくは発売予定車を発表するでしょう。Appleはいきなりジュネーブの主役の一つになったワケです(ちなみにVWグループはGoogleを現状は利用)。Appleが今日このタイミングで発表したのはこうした背景があると思われます。IT系のニュースサイトだけではわからない裏話ですが、こうしたコンテキストを押さえるとさらにクルマとインフォテインメントは面白くみれると思います。

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