2011年10月26日水曜日

スティーブ・ジョブズ伝記。表紙と装丁で思うこと。

スティーブ・ジョブズの伝記を買いました。

全体として、あれだけの突貫作業(1カ月も発売を早めたとか)の時間のないなかで、装丁家、編集者、営業担当者、彼らの直属の役員といった方々が打ち合わせを重ねて意見を戦わせた結果なのだろうなぁ、みんなそれぞれ大変だったろうなぁ…というのが一番の感想です。



たしかに上巻のオレンジ(そういえばアップル創業時に「オレンジ」っていう後追い会社があったそうですね)、下巻のグリーン(なんとなく“アップルグリーン”に見えなくもない)ともに刺し色としてさほど効いているとも思えませんし、帯が入ると思いっきり普通のビジネス伝記っぽい感じになっていて、Appleユーザーとしては確かに納得がいくものではありません。が、さりとてソーシャルメディア上で話題になっているほど目くじらをたてていうほどではないとも思いました。

帯を外せば、だいぶ雰囲気かわりますし;-)



むしろ帯やオレンジの刺し色よりも個人的には裏表紙の写真の使い方の方が気になります。



あぐらをかいたJobsの裁ち落とし(一面に写真を引くこと)が日本語版では切り抜きで中央に配されています。バーコードなどのレギュレーションもありますが、切り抜きになっていることもあいまって、なにかちんまい感じ。本として小粒になっていることは否めないでしょう。“Appleファンとして”率直に言えば「確かに残念」であります。

大前提としてワタシ自身は、Jobsを尊敬する生粋のAppleユーザーです。JobsがAppleを追い出されたあとのアメリオ体制のどん底にあるときから途中強制的に2年ほどWindowsを使わされた時をのぞいて今までずっとアップルを使ってきました。初めての仕事で貰ったギャラを全部突っ込んで買ったPowerBook190Cs(世紀の大駄作といわれたPowerBook5300のノンPowerPC版という情けないモデル)が初めてのApple製品といえばおわかりかと。以来、ずっとApple製品とともに雑誌編集の仕事をしてきました(詳しくはLinkedInで)。このブログのタイトルだってまんまです ;-)

さて、ここで考えたのは、もうちょっと別の側面です。

ワタシたちのようなJobsファン、Appleファンは、結局どんな装丁だろうと間違いなく買うでしょう。むしろこの本の売り先は、the Rest of usもとい、それほどJobsやAppleのことを知らない人たちのはず。

彼らには、英語版そのまんまの装丁では、きっと売れません。なぜならその人たちは“Jobs的なるもの、Apple的なるもの”をまだ知らず、ゆえにJobs的表紙は響かないからです。

Jobsファンとして、Appleファンとしてワタシたちがこの本を一番読んで欲しいのは、そういう人たちではないでしょうか? そして、版元の講談社もそういう人たちをターゲットにしているはずです。なぜならこれはビジネスだから。最初からワタシたちのような純粋Jobsファン、Appleファンはベースラインとして織り込み済みです。

「Appleのことを例に出すと社内で叩かれる」なんていう会社がいくつもある日本です。ワタシは、そういう風潮の会社にいるような、Jobsのことを最近知った人にこそこの本を読んでもらいたい。まだ実は読んでないけれど、この本にはきっとその何かがある。

そう考えれば、表紙がJobs的でないということは、ささいなことに思えます。いや、むしろ帯があって良かったとさえ思う(ついでにいうと帯の下になにもないのは装丁家のせめてもの矜持かと)。これを機会に、より多くの日本人に読んでもらい、そこから何かを学んでくれれば、日本や日本の企業も変わるかもしれない。少なくとも変わるきっかけにはなるかもしれない。

この本をもっと多くの人に読んでもらって、ワタシたちJobsファン、Appleファンが感じているような、“よりよい何か”を、日本のいろいろな人に知ってもらうことの方が、より上のレイヤーでJobs的なのではないでしょうか。

なんてったって「世界をより良く変化させていくこと」が彼の人生そのものだったのですから。


2011年10月24日月曜日

miilはもしかして食いしんぼうのキラーになる、かも。

正直自分でも(ちょっと)思うのですが、ワタシ、食いしんぼうだと思います:D

ただ、自分で自分のことを「グルメ」といったことはありませんし、あんまりこの言葉は好きじゃないんですよねぇ。自分で自分のこと「グルメ」っていうのは結構恥ずかしいことなんじゃないかと自分のなかでは思っています。

とはいえ、 @taromatsumuraこんなこと言われたり(笑)、いきなり友達から「丸の内で会食したいんだけどカジュアルめなとこどこ?」と聞かれたりもしていまして、自他共に認める食いしんぼうであることは否定しようがありません。

特にTimelineを見ているかたはやたらワタシがいろいろなところで美味しいものを食い散らかしているように思えるかもしれませんが、3.11以来、近況報告やブレスト的なミーティングをすべてランチミーティングにしているためでもあるんですよ;-)

さて…いいわけはそのくらいにして。

今日、miil.meというサービスが(ひそかに)ローンチしました。


食べ物を撮影してソーシャルに投稿して、共有するのですが、Instagramのようなサービスと違うのは、食べ物に特化して、そこに「いいね!」的な「食べたい!」ボタンがあることです。


写真クリックでiTunesにとびます。
ボタンとかiPhoneアプリのテンプレを使っていないのは
Android版との整合性をとるためでしょうか。

で、この「食べたい!」ボタンがこのサービスのキモであります。「食べたい!」ボタンを押すと、マイページの中に、そのお店なり料理なりが蓄積されていくのです。

これまでFacebookTwitterInstagramで流れてきた美味しそうなところは、ふぁぼったり、せっせと店名やリンク先をEvernoteに入れていたんですが、これを再び「塩ラーメンが食べたいけれど、こないだソーシャルで流れてきたあのお店は…」と探すことはあまりありませんでした。

このmiil.meなら、それはリストとして一括しているわけですから、きっと活用できるでしょう。なぜなら、その写真には位置情報も電話番号も記載されているのですから。なにしろその写真から店に電話もかけられるのですから。これは便利ですねぇ。

意外に思われるかも知れませんが、ワタシは、食べログやぐるなびをほとんど使っていません。

使わない理由は簡単です。

不特定多数の集合的評価であり、美味しい美味しくないは主観的部分も多いので、高い評価が必ずしもそれが自分の好みにあうかわからないからです。
(ついでにいうと、これらのサイトの評価はだいぶ店の雰囲気にポイントが左右されているように感じています)

それよりも、自分がリアルでもソーシャルでも知っている人の勧めるものの方が信頼がおけます。なぜなら、ワタシの好みを知っているからであり、ワタシもその人の好みを知っているからです。AmazonでAmazon内の書評を参考にしたことは一度もありません。それより知っている人が「読了」「オススメ」といった本をAmazonで即ポチすることが殆どです。

そう考えると、miil.meでマイページに蓄積された「食べたい!」店や料理は、その個人にとってキラーになる可能性を秘めていると思うのです。


そして使ってみて、最初に思ったことは、foursquareチェックインをInstagramのようにやって欲しいなぁ、ということです。

最近、食べ物屋さんに入ってfoursquareアプリでチェックインすることがなくなりました。なぜならInstagramに料理を撮って投稿すればついでにfoursquareにチェックインできるからです。いわゆる「Instagram待ち」状態ですね:) そして、Instagramで料理を投稿するときに無言のまま投稿する人はほとんどいないのです。かならずなにかコメントを入れるわけですし、不味くてわざわざ投稿する人も少ないですよね。それにInstagramで料理の写真投稿する人、多くありません?(自分だけ?)

というわけでfoursquare投稿ができるようになるとInstagramとの使い分けができていいんじゃないかなと思います。これができれば間違いなく料理の時にはInstagramを使わなくなると思います。

なぜなら、写真の加工が凄くいいから。ユーザビリティに個人的興味がある自分にとっては色ころびを縦軸(彩度明暗)横軸(色温度)で直接写真の上からいじれるUIはお見事としかいいようがありません。これなら写真の色の知識がなくとも直感的に操作できる。iPhotoやPhotoshopに付けてもいいくらいじゃないかと思うくらい素晴らしいと思います。

最後にもうひとつ。
他にも、いくつかこんな機能があったらいいなぁというのが思いつきまして、それらは実はすでに関係者にお伝えしています;-) 実装されるか否かは、もちろんmiil.meの皆さんが判断することですし技術的に難しいかもしれませんので分かりません。し、されなくても気を悪くしたりしませんので御安心を;-) >関係者各位

でも、実装されたらその暁には、ワタシのアイデアだよ!と自慢させていただきます。

いや、そのくらいちょっと期待したいんですよね。ビジネス的にもひょっとするとひょっとするかもしれません。すくなくともそう思えるサービスがあるのは嬉しいことじゃないですか。